ラベル リベリア の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル リベリア の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2011/12/26

リベリア マイニング企業の鉄道争奪戦 Bataille du rail entre miniers

アルセロール・ミッタル社がリハビリしたYekepa-Buchanan間の鉄道の恩恵にBHPビリトン社、ヴァーレ社もあずかりたいと願っている。

2011年6月下旬、初めてアルセロール・ミッタルの鉄鉱石がYekepa鉱山とBuchanan港を結ぶ鉄道によって運ばれた。240Kmのこの鉄道は1950年代に開発され、内戦が激化する1990年までLamco(Liberian-American-Swedish Minerals Company)によって運営されていたものだ。

アルセロール・ミッタルはこの鉄道リハビリに8億ドルを投じた。2012年から年間1500万トンを生産する予定だ。2003年以来、初めてリベリアから鉄鉱石を輸出する同社は、周辺で活動しているBHPビリトンやヴァーレを尻目に、この唯一の鉄道を独占している。

これらのライバル会社は、奥地から鉄鉱石運び出すためにこの鉄道を利用させてもらうか、もしくは自前で鉄道を新設しなければならないが、新設はリハビリよりも格段にコストがかかる。アルセロール・ミッタルの担当によると「リベリア政府は、鉄鉱石の開発期間中はずっと当社に鉄道の管理権を与えています。他社がこの鉄道を利用することも可能ですが、当社の活動に支障をきたさない限り、という条件付き」だという。

BHPビリトンが持っているリベリアの4箇所、ギニアの2箇所の鉱区は見事に鉄道沿いに位置しているため(地図参照)、アルセロール・ミッタルとの協議を進めていた。しかし、2010年初頭から続けられてきた協議は9月には打ち切りとなった。アルセロール・ミッタルは「当社がYekepa-Buchanan鉄道を使って輸送する鉄鉱石の重量は、かつてのLamco時代を上回ります。この上にキャパシティを超える余剰輸送は難しい」と説明する。

一方のBHPビリトンは「私たちにはまだ時間があります。まだ探査・開発段階ですから」と語る。同社が生産を開始するのは早くとも2018年の予定だ。最初の交渉は決裂したが、まだあきらめていない。同社はかつてはアルセロール・ミッタルの先を行っていたので、鉄道の一部でも使わせてもらえるよう、リベリア政府がアルセロールにプレッシャーを与えてくれるのではないかと願っている。

ヴァーレはBSGRと組んでYekepaから数キロの場所に位置するギニアのZogota鉱山の開発を進めており、同社もまたこの鉄道を利用したいと考えている。同社はギニアのコナテ前大統領からギニアの鉄鉱石をリベリア経由で輸出する許可を得たが、現在のコンデ大統領は、この合意を見直す姿勢を見せている。ヴァーレはなんとかそれを避けたいと、代わりにコナクリ―Kerouane間の乗客用鉄道の整備を約束した。同社もまだ希望を捨てていない。

*この記事は以下のJeune Afrique誌記事を日本語で要約したものです。
Source : LE BEC, Christophe. « Liberia : Bataille du rail entre miniers ». Jeune Afrique 2640-2641 (du 14 au 27 août 2011). p121.

2011/10/25

ギニア 鉄鉱石/西アフリカへ殺到


世界的に増え続ける鉄鉱石需要を前に、鉱業メジャーだけでなくジュニア・マインや製鉄業者も、西アフリカに巨額の投資を行っている。

西アフリカは鉄鉱石の新たな供給地として注目を集めている。ヴァーレ(ブラジル)BHPビリトン()、リオ・ティント()など世界の生産量の7割を占める業界3強はもちろんのこと、彼らの顧客である製鉄業者―アルセロール・ミッタル(仏印)、タタ・スティール()Shanong Iron and Steel(中国)Chinalco(中国)など―もこの地域に進出している。
彼らはあらゆるリスクに勇敢に立ち向かい、ジュニア・マインと手を組んで奥地でも政治的に不安定といわれる場所でもプロジェクトを立ち上げている。実際、これまで特にリスクが高いといわれていたギニア、リベリア、シエラレオネでは、過去半年の間に大規模プロジェクトの合意が5つも発表されており、その投資総額は100億ユーロ弱に上る。
業界の中心はアフリカに移っている。中国の台頭により、鉄鉱石の需要は10年前から飛躍的に増加している。2大生産地オーストラリアとブラジルの生産量が増えても、需要には追いつかない。中国自身も国内での鉄鉱石生産を増加させているが、同国の鉄鉱石は質が良くなく、鉄分が20%にとどまる。
鉄鉱石の価格は上昇傾向にあり、製鉄業者側は、自分たち自身で鉱石を開発したいと願っている。これは今年3月から鉄鉱石の価格決めのシステムが変わったことが影響している。大口の購入に関しては一年間決まった値段で売買する長期市場ではなく、そのつど市場で交渉される短期市場に移行したのだ。

人気高まるギニア
そのような状況のなかで、西アフリカの鉱脈は「食欲」をそそっている:250億から500億トンといわれる埋蔵量、しかもその大部分が鉄分65%というオーストラリアの優良鉱脈に匹敵するレベルにあるのだから、引く手あまただ。
ギニアでは3月にリオ・ティントとChinalcoが世界第3位の埋蔵量を誇るシマンドゥ鉱山の北地区に22億ユーロを投資することで合意した。5月には、ヴァーレが同じくシマンドゥ鉱山の南地区開発への意欲を明らかにした。19億ユーロをかけてBSGRギニア子会社の株式51%を取得したのだ。豪ジュニア・マイナーのBellzoneは中国国際基金(CIF)と合意を結び、21億ユーロを投じてギニア中部Kalyaの鉄鉱石開発に着手する予定だ。
お隣のリベリアでは、BHPビリトンが615日にリベリア 政府と合意を結び、23億ユーロを投じて国内4箇所で鉄鉱石の開発にあたる。一方アルセロール・ミッタルは、2006年に取得したLiberian American Mining Company (Lamco)の古い鉱脈開発を再開させる。
シエラレオネでは、Shandon Iron and SteelAfrican MineralsTonkolili鉱脈に12億ユーロを投資し、優遇価格で年間1000万トンを確保する予定だ。

単一産業化を避けられるか
これまで世界におけるアフリカの鉄鉱石供給量は4%にとどまっているが、今後10年間で15%までシェアが高まると専門家は見る。先陣を切るモーリタニアはもう少数派ではない。ギニアは世界3位の生産国になる野望を抱いている。セネガルではFaleme鉱脈の開発のためにNMDC()とアルセロール・ミッタルとの合弁会社設立の準備が進んでいる。
ギニアのティアム鉱業相は「われわれは50年間、鉱脈の上に居座りながら何もしてこなかった。近い将来、鉄鉱石はギニアの国家経済において、ナイジェリアの石油に匹敵するようになるだろう」。華々しく発表されたこれらの大規模プロジェクトは実際に実現するだろうか。政治的不測の事態を乗り越え、利益を上げられるだろうか。そして成功の暁には、単一産業化という暗礁を避けられるだろうか。

*この記事は以下のJeune Afrique誌の記事を日本語で要約したものです。
Le Beck, Christophe. Fer : La ruée vers l’Ouest africain. Jeune Afrique 2586 du 1er au 7 août 2010. pp.66-67.