2012/01/21

セネガル 経済政策:成績は「可」 Économie : mention passable


事業の方向性は正しいのだが、ロジスティックと財源がついていかないというのがワッド流にありがちの欠点だ。結果として、事業は不完全に終わってしまう。大統領選を控えた有権者の関心は、果たしてそのワッド流を続けるべきかどうか、だ。

誰のためのインフラか
高速道路、新しい国際空港、コルニッシュ通りダカールの工事は終わることがない。これらのプロジェクトだけでも10億ユーロの予算がかかっているが、ある会計事務所は「他で見られる工事よりも割高」だと評価する。そしてこれらの事業がダカール市内のみの交通事情しか考えていないのであれば、優先順位のつけ方が疑問視されるのは当然だ。実際、人口過密にあえぐ郊外地域はこれらの事業の恩恵をほとんど受けていない。入札の透明性にも疑問符が付く。

ワッドの事業
国民の6割が従事している農業は国民全体の食糧をまかないきれておらず、食糧の輸入が貿易赤字を悪化させている(GDP-16.5)。ワッドはこの問題に着手する熱意を見せて2006年、農業プログラムに6000万ドルをつぎ込んが、結果は出ず、プログラムは忘れ去られた。2008年には、2012年までに食糧自給率100%を目指す別の食糧計画(Goana)が発表され、5.2億ユーロがつぎ込まれたが、4年後の今でもセネガルは米の5分の4を輸入に頼っている。政府の見解では、国内の穀物生産は倍増したというが…。「ワッドの目標は野望的すぎた」とMacky Sall大統領候補に近い経済学者Moubarack Lo氏は分析する。「食料自給率100%は達成できる可能性はあるが、どんなに早くとも2020年以降だろう」。
一方、最近の目玉事業Plan Takkalは電力供給建て直しに貢献した。10億ユーロの大事業はダカール市内の電力供給を確保し、今週には韓国Kepcoによる新発電所建設の契約がサインされた。

国営企業の民営化
セネガル化学産業(ICS)はインドのIffco社に、Sonacos(Suneor、食用油)Advens社に、石油精製公社(SAR)はサウジのBinladinグループにそれぞれ買収され、ワッドはしばしばこれらの国営企業を安値で売り払ったと批判されている。「これらの民営化は透明性と管理に欠けている」と関係者。
Sonacoは民営化されたのに生産は非効率的なままで経営が改善されていない。ICSは買収以降、生産した化学肥料のほとんどがインドに売られ、国内の需要に回ってこなくなった。一方、民営化の成功例として知られるのは1990年代に民営化された電話会社のSonatelで、いまやサブサハラアフリカを代表する優良企業といわれている。

財政の穴
セネガルの財政について、「健全な年もあったが、それ以外は壊滅的だ」と前出の経済学者はまとめる。政府の歳出は過去12年間でGDP20%から28%へ増加した。「GDPと貧困率は実質的に停滞しているので、歳出が増えたにもかかわらず、歳出が有効活用されてこなかった」。IMFは何度も警鐘を鳴らしてきたものの、最近は「国家歳出の管理は改善されてきている」とコメントしている。

*この記事は以下の『Jeune Afrique』誌の記事を日本語で要約したものです。
PAURON Michael. Économie : mention passable. Jeune Afrique du 15 au 21 janvier 2012. p30-31.

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